勤怠管理の不正検知AI:ログデータから異常な勤務パターンを発見
リモートワークの普及により、社員の勤務実態が見えにくくなっています。PCのログオン時間と申告された勤務時間のズレ、あるいは深夜・早朝の不自然な打刻など、勤怠データの不正や異常を人間が目視でチェックするには限界があります。
そこで活用されているのが、機械学習による**異常検知(Anomaly Detection)**です。
教師なし学習:Isolation Forest
不正のパターンは多種多様であり、事前に「これが不正だ」というデータを定義(ラベル付け)するのは困難です。そのため、「通常のパターンから逸脱しているデータ」を見つける教師なし学習が適しています。
**Isolation Forest(隔離の森)**は、異常なデータほど「少ない分岐で隔離できる」という性質を利用したアルゴリズムです。計算が高速で、高次元データにも強いため、ログ分析によく使われます。
特徴量エンジニアリング
AIに何を学習させるかが重要です。
- 時間乖離: PC起動時間と打刻時間の差分(分単位)。
- 曜日・時間帯: 「日曜日の深夜2時」など、通常業務ではありえない時間帯のアクセス。
- IPアドレス: 普段と異なる国や地域からのアクセス(VPN経由の不正など)。
# Pythonコード例(scikit-learn)
from sklearn.ensemble import IsolationForest
# 特徴量データを作成
X = logs[['time_diff', 'access_hour', 'is_weekend']]
# モデルの学習
clf = IsolationForest(contamination=0.01) # 上位1%を異常とみなす
clf.fit(X)
# 異常スコアの算出
logs['anomaly_score'] = clf.decision_function(X)
logs['is_anomaly'] = clf.predict(X)
# 異常データの抽出
suspicious_logs = logs[logs['is_anomaly'] == -1]
人事との連携:AIは「アラート」を出すだけ
システムが「不正」と断定するのは危険です。正当な理由(緊急対応など)があるかもしれないからです。
AIの役割は、全データの中から「調査すべき対象(Shortlist)」を抽出し、担当者にアラートを通知することです。最終判断は人間が行うフローを構築することで、従業員の納得感を得られます。
結論:抑止力としてのAI
「AIが常に見ている」という事実自体が、不正への強い抑止力になります。しかし、それは「監視社会」への入り口でもあります。導入の際は、従業員のプライバシーへの配慮と、利用目的の透明性が何よりも重要です。